業務改善を考えるとき、
Forms や kintone を使う案は、自然と頭に浮かぶ。
入力は一元化でき、
転記ミスも防げる。
将来を見据えれば、合理的な選択である。
ただし、通常業務を回しながら、
これらのシステムを導入・設計していく労力を想像すると、
「簡単ではない」こともまた、容易に想像がつく。
業務フローの見直し、設計、説明、定着。
どれも必要で、どれも時間を要する。
だからといって、
今の申請業務をそのままにしておけば、
転記ミスと手戻りは何も変わらず残り続ける。
そこで今回は、
できるだけ手間をかけずに、現状を少しでも良くする方法を探した。
選んだのは、
Excelのシートを一つ増やす、という判断だった。
改善前の業務の流れ
改善前の流れは、行政ではよくある形だった。
- 利用者が
ホームページから Excel形式の申請書 をダウンロード - 記入後、メールで提出
- 職員が内容を確認し、プリントアウト
- 別途、Wordで承認書を作成
- 申請書と承認書をそろえて 起案
Excel形式の申請書とWord形式の承認書をそれぞれ印刷し、それを確認・起案に回す形だ。
問題はどこにあったか
問題は「紙」ではなかった。
- 申請書(Excel)
- 承認書(Word)
この二つが別物として存在していた点だ。
同じ内容を、
- Excelを見ながら
- Wordの承認書に書き起こす
この構造が、
- 転記ミス
- 記載漏れ
- 内容の不一致
を生み、
差し戻しや手戻りにつながっていた。
特に繁忙期には、
この手戻りが業務全体に影響していた。
正論としての改善案と、その壁
もちろん、次の案は検討した。
- Formsで申請を受ける
- kintoneで申請から管理まで行う
理屈としては、こちらの方が整っている。
ただ、現実的には大きな壁があった。
- 業務フロー全体の見直しが必要
- 要件整理・設計に莫大な時間がかかる
- ITに不慣れな職員もいる
- 導入しても、特定の人だけが触れる
属人化になる可能性が高い
「正しいが、今すぐ手を付けられない」
そういう状態だった。
取った改善策
そこで選んだのが、
既存のExcelを活かす方法だった。
やったことは、次のとおりだ。
- 申請書の Excelファイルに承認書のシートを追加
- 承認書のシートは 通常は非表示
- 申請書に入力した内容が
承認書シートに 自動で反映される構造にした
つまり、
申請書を書けば、
承認書も同時に完成している
状態を作った。
起案のやり方を変えた
このExcelを、
- PDFに変換
- 電子決裁システムで起案
という流れに切り替えた。
この改善で守ったもの
この改善は、
派手なDXではない。
それでも、
- 現場が止まらない
- 新しい操作を覚えなくていい
- ITが得意な人に依存しない
という状態を作ることができた。
守ったのは、
業務の継続性と再現性だ。
Excelのシートを増やすのも改善である
DXという言葉が先に立つと、
新しいツールを入れることが
正解のように見える。
だが実際には、
今ある道具の構造を少し変える
だけで、
問題が解消する場面も多い。
今回の改善は、
Excelのシートを一枚増やしただけだ。
それでも、
- 転記ミスが減り
- 手戻りが減り
- 説明がいらなくなった
それなら、十分だと思っている。
おわりに
Forms や kintone は、
先の未来にある有力な選択肢だと思っている。
ただ、DXは一気に最新形にできるものではない。
現場の状況を見ながら、
段階的に進めていくしかない。
今回、Forms や kintone の導入後の姿は想像できていた。
一方で、それを通常業務と並走して進めるのは、
現実的ではないとも判断した。
だからといって、
何も手を付けなければ、
転記ミスと手戻りはこれからも続いていく。
それならば、
Excelのシートを一つ増やすだけでもいい。
今の業務を大きく変えず、
止めず、
それでも確実に前に進める。
その小さな一歩が、
次の改善につながると考えている。


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