派手なDXを選ばなかった改善― 申請書Excelに承認書を組み込んだだけの話

業務改善を考えるとき、
Forms や kintone を使う案は、自然と頭に浮かぶ。

入力は一元化でき、
転記ミスも防げる。
将来を見据えれば、合理的な選択である。

ただし、通常業務を回しながら、
これらのシステムを導入・設計していく労力を想像すると、
「簡単ではない」こともまた、容易に想像がつく。

業務フローの見直し、設計、説明、定着。
どれも必要で、どれも時間を要する。

だからといって、
今の申請業務をそのままにしておけば、
転記ミスと手戻りは何も変わらず残り続ける。

そこで今回は、
できるだけ手間をかけずに、現状を少しでも良くする方法を探した。

選んだのは、
Excelのシートを一つ増やす、という判断だった。


目次

改善前の業務の流れ

改善前の流れは、行政ではよくある形だった。

  1. 利用者が
     ホームページから Excel形式の申請書 をダウンロード
  2. 記入後、メールで提出
  3. 職員が内容を確認し、プリントアウト
  4. 別途、Wordで承認書を作成
  5. 申請書と承認書をそろえて 起案


Excel形式の申請書とWord形式の承認書をそれぞれ印刷し、それを確認・起案に回す形だ。


問題はどこにあったか

問題は「紙」ではなかった。

  • 申請書(Excel)
  • 承認書(Word)

この二つが別物として存在していた点だ。

同じ内容を、

  • Excelを見ながら
  • Wordの承認書に書き起こす

この構造が、

  • 転記ミス
  • 記載漏れ
  • 内容の不一致

を生み、
差し戻しや手戻りにつながっていた。

特に繁忙期には、
この手戻りが業務全体に影響していた。


正論としての改善案と、その壁

もちろん、次の案は検討した。

  • Formsで申請を受ける
  • kintoneで申請から管理まで行う

理屈としては、こちらの方が整っている。

ただ、現実的には大きな壁があった。

  • 業務フロー全体の見直しが必要
  • 要件整理・設計に莫大な時間がかかる
  • ITに不慣れな職員もいる
  • 導入しても、特定の人だけが触れる
     属人化になる可能性が高い

「正しいが、今すぐ手を付けられない」
そういう状態だった。


取った改善策

そこで選んだのが、
既存のExcelを活かす方法だった。

やったことは、次のとおりだ。

  • 申請書の Excelファイルに承認書のシートを追加
  • 承認書のシートは 通常は非表示
  • 申請書に入力した内容が
     承認書シートに 自動で反映される構造にした

つまり、

申請書を書けば、
承認書も同時に完成している

状態を作った。


起案のやり方を変えた

このExcelを、

  • PDFに変換
  • 電子決裁システムで起案

という流れに切り替えた。


この改善で守ったもの

この改善は、
派手なDXではない。

それでも、

  • 現場が止まらない
  • 新しい操作を覚えなくていい
  • ITが得意な人に依存しない

という状態を作ることができた。

守ったのは、
業務の継続性再現性だ。


Excelのシートを増やすのも改善である

DXという言葉が先に立つと、
新しいツールを入れることが
正解のように見える。

だが実際には、

今ある道具の構造を少し変える

だけで、
問題が解消する場面も多い。

今回の改善は、
Excelのシートを一枚増やしただけだ。

それでも、

  • 転記ミスが減り
  • 手戻りが減り
  • 説明がいらなくなった

それなら、十分だと思っている。


おわりに

Forms や kintone は、
先の未来にある有力な選択肢だと思っている。

ただ、DXは一気に最新形にできるものではない。
現場の状況を見ながら、
段階的に進めていくしかない。

今回、Forms や kintone の導入後の姿は想像できていた。
一方で、それを通常業務と並走して進めるのは、
現実的ではないとも判断した。

だからといって、
何も手を付けなければ、
転記ミスと手戻りはこれからも続いていく。

それならば、
Excelのシートを一つ増やすだけでもいい。

今の業務を大きく変えず、
止めず、
それでも確実に前に進める。

その小さな一歩が、
次の改善につながると考えている。

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この記事を書いた人

現場と管理の間で、業務改善や小さなDXに関わってきた。
正解や完成形より、そのときの判断を記録している。

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