FAXの次に何を置くか:TO-BEとしてTeamsを選んだ理由

FAXをやめる、という判断はゴールではない。
業務としては、むしろそこからが本番になる。

重要なのは、FAXの代わりに何を置くか、だ。
ツール選定の話に見えるが、実際には判断の置きどころの問題である。

※AS-IS側の記録は別記事に置いた。ここではTO-BE側だけを書く。

目次

いきなりTO-BEを描かなかった理由

ボトルネックが見えた直後、人は早く答えを置きたくなる。
だが、私はTO-BEを先に出さなかった。

TO-BEを先に出すと、議論の主語が「ツール」に戻る。
すると、話は必ずこうなる。

  • それは本当に必要か
  • 誰が使えるのか
  • 失敗したらどうするのか

この議論自体が悪いわけではない。
ただ、ここに早く入ると、現場は固まりやすい。

まず必要だったのは、変えていい前提が共有されることだった。
つまり、AS-ISが「事実」として場に置かれている状態である。

TO-BEに求めた条件

TO-BEとして何を置くか。
私は「機能」ではなく「条件」だけを考えた。

  • 新しい操作を最小限にできる
  • 特定の人だけが詳しくならない
  • 業務の流れを壊さない
  • 例外が出ても破綻しにくい

便利そうである必要はなかった。
高機能である必要もなかった。

欲しかったのは、「静かに置き換わる」ことだけである。

Teamsを選んだ理由

結果として、Teamsを選んだ。

理由は、新しいツールだからではない。
すでに組織の中にあり、一部では使われていた。

導入ではなく、配置の変更で済む。
この差は大きい。

新しいツールを入れると、必ず摩擦が増える。

  • アカウントや権限
  • 申請や手続き
  • 「覚えること」の増加
  • 問い合わせ対応の集中

今回の目的は「IT化」ではない。
FAX起点の停滞を減らすことだった。

Teamsは、業務の通り道として置ける。
その一点が決め手になった。

To-Be抜粋

「全部デジタルにする」を選ばなかった理由

TO-BEを描くとき、「全部デジタルにする」という案も出る。
だが、私はそれを選ばなかった。

理由は、最初から完成形を作ろうとすると、
実務はかえって壊れやすくなるからだ。

例外や人の判断を前提にしない設計は、
現場では長くもたない。

  • 一部が止まると全部が止まる
  • 例外処理が増え、結局属人化する
  • 「正しい手順」への逸脱が許されず、現場が疲れる

TO-BEは理想像ではない。
その時点で動く形として仮置きするものだ。

私は、完成度よりも定着の確率を優先した。

置き換えの仕方

FAXを「Teamsに置き換えた」というより、
FAXが通っていた場所に、別の通り道を作った、という感覚に近い。

そのとき意識したのは、急に切り替えないことだった。
段階的に、手順として馴染ませていく。

「誰が」「いつ」「何を」「どこに置くか」。
この粒度まで落とすと、反対は意見ではなく条件になる。

条件になれば、調整ができる。

導入後に起きることを前提にした

TO-BEは完成版ではない。
導入したあとに、必ず手順の微調整が起こる。

私は「戻れるか」よりも、こちらを優先した。
モニタリングして、なじませること。

導入後に見るポイントは明確だった。

  • どこで詰まるか
  • 誰が戸惑うか
  • 想定外の動きは出るか
  • 現場の負担は本当に減ったか

それを見ながら、手順を少しずつ整える。
この微調整が前提にあると、現場は動きやすい。

最初から正解を置こうとすると、現場は固まる。
未完成を前提にすると、現場は動き続ける。

振り返って思うこと

TO-BEは、正しさの宣言ではない。
現時点の仮置きである。

そして仮置きである以上、導入後のモニタリングと微調整がセットになる。
私は、ここまで含めてTO-BEだと考えている。

※このTO-BEも、モニタリングと微調整を前提に成り立っている。

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この記事を書いた人

現場と管理の間で、業務改善や小さなDXに関わってきた。
正解や完成形より、そのときの判断を記録している。

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